ロシアに滞在していると、体調を崩したり、ケガをしたりして、病院のお世話になる場面が出てくるかもしれません。日本とは制度が大きく違うため、いざというときに戸惑わないよう、保険・費用・受診の流れをまとめておきます。

保険への加入は義務
ロシアに長期滞在する外国人は、医療保険への加入が義務付けられています。留学生の場合、大学経由で案内されることが多く、代表的な保険会社の一つに「Росгосстрах(ロスゴスストラフ)」があります。どこまでの治療が保険でカバーされるかは、契約内容によって異なるため、加入時に確認しておくと安心です。
ロシアの医療保険には、大きく分けて2種類あります。ロシア国民や一部の在留資格者が対象の「ОМС(オーエムエス。義務医療保険)」と、外国人向けの「ДМС(デーエムエス。任意医療保険)」です。留学生や一時滞在の外国人は、基本的にДМСへの加入が求められます。加入時に渡される保険証(полис)は、通院のたびに提示を求められることがあるので、原本かコピーを携帯しておくと安心です。
保険の契約内容によって、通院できる医療機関が指定されている場合と、幅広い医療機関で使える場合があります。大学経由で加入する場合は、どの病院・クリニックが対象になっているか、契約時に確認しておくことをおすすめします。
まずは大学附属のクリニックへ
留学生の場合、多くの大学に附属のクリニックがあります。軽いケガや体調不良であれば、まずここで診察を受けるのがおすすめです。窓口で症状を伝えて書類を受け取り、医師が来るまで待つ、という流れが一般的で、事前の予約が不要なケースも多いです。ただこれは大学によって変わってくるかと思いますので、事前に自身の大学の制度を確認しておくことをオススメします。
大学のクリニックで対応できない処置(ギプスの装着など)は、町の病院を紹介されることがあります。
受診時に持っていくもの
- パスポート(本人確認のため)
- 滞在登録(миграционный учет)の書類(提示を求められることがある)
- 保険証(полис)
- 学生証(大学附属のクリニックの場合)
滞在登録については、入国後7営業日以内に行う義務があり、怠ると罰金の対象になります。病院の受診とは直接関係ないと思われがちですが、書類の提示を求められる場面があるため、常に携帯しておくと安心です。
緊急時は救急車を呼べる
急な体調不良やケガなど、緊急性が高い場合は、救急車を呼ぶことも可能です。ロシアでは、救急サービスの電話番号は「103」(携帯電話からは「112」でも、警察・消防・救急いずれにもつながる共通緊急番号として利用できます)。ロシア語での会話が難しい場合でも、住所と症状を伝えられるよう、事前に簡単なフレーズを準備しておくと、いざというときに役立ちます。
費用の目安
費用については、診断や応急処置が無料だったケースもあれば、処置の内容によって実費がかかるケースもあります。一例として、骨折時のレントゲン・診断・ギプスの装着までは無料だったものの、1ヶ月後にギプスを外す処置だけ、約6,000ルーブルかかった、という体験があります。どこまでが無料で、どこから実費になるのかは、ケースバイケースのようです。
有料の民間クリニックという選択肢も
大学のクリニックや、保険でカバーされる公的な医療機関のほかに、「платная клиника(プラトナヤ・クリニカ。有料クリニック)」と呼ばれる、民間の医療機関を利用する方法もあります。費用は実費になりますが、待ち時間が短い、English対応のスタッフがいる場合がある、予約が取りやすいといったメリットがあり、ロシア語に不安がある人や、急いで診てもらいたい人には、検討する価値があります。モスクワなど大都市には、こうした民間クリニックが多数あります。
薬局(アプテカ)で買える薬について
ロシアでは、「аптека(アプテカ。薬局)」で、日本よりも幅広い種類の薬が、処方箋なしで購入できます。風邪薬や鎮痛剤など、軽い症状であれば、病院に行かずに薬局で相談して済ませる、という選択をする人も少なくありません。ただし、抗生物質を含む一部の薬は、処方箋が必要な場合もあるため、薬局で確認しながら購入することをおすすめします。
言葉の壁について
医療通訳が常駐している病院は多くありません。診察は、基本的にロシア語でのやり取りになります。ロシア語に不安がある場合は、事前に症状を説明する簡単な文章を用意しておくか、翻訳アプリをスマホに入れておくことを強くおすすめします。
まとめ
- 保険への加入は義務。カバー範囲は契約前に確認する
- 軽い症状は、まず大学附属のクリニックへ(予約不要なことも)
- 費用は無料の場合も実費の場合もある。処置によって異なる
- 診察は基本ロシア語。翻訳アプリを用意しておくと安心
実際に骨折したときの、具体的な体験談はこちらにまとめています。


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